農業用マルチシートの地温上昇効果を実地確認【家庭菜園】

2023年10月3日

こんにちは、たか爺です。

今日は、畑で使う「マルチシート」に地温上昇効果があるのか、実際に温度測定して確認したのでその結果を投稿しました。

わが家の家庭菜園では何年も前から、野菜を植える際に畝にはマルチシートをかけて使っています。
それは何故かというと、野菜の育て方に「マルチを使うと地温が上昇するので野菜の生育が良いし雑草を抑制できる」ということが書いてあったのでそれを信じて使っていました。

シルバーマルチ

おおよそは想像できるのですが、マルチを敷くことでどれだけ地温が上昇するのか、実際にマルチの種類別に地温を測って比較してみました。

結論だけを先に述べますと、地温上昇効果が一番大きいのはやはり透明マルチで、次いで黒マルチ、そしてマルチ無しとシルバーマルチが同じくらいで地温上昇効果が無いことが確認出来、予想通りの結果でした。
測定結果だけを見たい方は「測定結果とまとめ」をお読みください。

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マルチシートとは

ご存知の方も多いと思いますが、農業用マルチシートとは非常に薄い(0.02mmくらいの)ビニールシートで、作物を育てる畑の畝の表面を覆う資材のことです。
サイズ的には幅が90cm、135cm、150cmなどの種類があり、長さは50m、200mくらいのものを紙筒に巻いたものが売っています。
マルチの色もたくさんの種類があり、無色透明、黒色、シルバー(銀色)、白黒(表が白で裏が黒)、緑色などありますが、近所の畑ではほとんど黒色が主流です。
わが家の近くのホームセンターで販売されているのは黒マルチ、シルバーマルチ、透明マルチくらいです。(下の写真は黒マルチです)

黒マルチ

名前の通り、色が黒いもの、銀色のもの、透明なものなど、色の種類によってマルチングの効果が異なり用途に合わせて使います。
Amazonなどで検索すると50mもので1,000円余り~2,000円くらいで販売していました。

マルチシートの用途・効果など

マルチシートの中でも代表的な3種類(黒、シルバー、透明)についてその効果などを、ものの本から引用して以下に記しました。

黒色マルチ:地温上昇効果は透明より劣るが、光を通さないため雑草抑制効果が高い
確かに雑草は全く生えません。地温上昇効果もかなり有効です。
地温を上げたいし、雑草をキッチリ抑えたい場合に使用。私はほとんどの野菜にこれを使っています。

シルバーマルチ:光を反射するので地温上昇を抑える効果があり。反射光を嫌うアブラムシやアザミウマなど害虫の飛来防止効果もある。
私は最近(2年程前)になってシルバーマルチというものがあることを知り、ナスやオクラなどアブラムシがつきやすい野菜に使うことが多いです。

透明マルチ地温上昇効果が最も高い光を通すため雑草抑制効果はない。夏季は地温が上がりすぎるのでフィルムの上に敷きワラなど工夫した方が良い。
私は今年初めてカボチャの畝にこれを張ってみました。雑草が生えはしましたが少し生えた程度でした。

透明マルチに草が生えたところ

マルチ利用の最大の理由は地温を上げる効果防草効果で、この目的に万能に使えるものが「黒色マルチ」のようです。

以上の効果以外に、マルチを敷くと、水やり不要病気予防の効果もあります。
マルチをすることで適度な湿度が保たれるため、水やりの必要性がほとんどなくなります。
しかし夏野菜を春に植えた場合などでは夏場に植物がかなりの水分を必要とするみたいなので、途中で野菜の様子を見ては少しは水を与えたりしないと木が枯れてしまうこともあるので注意が必要です。
また、雨が降ったときに作物に土が跳ね返らないため、泥はねによる病気を防ぐこともできます。

また、雨で肥料が流れる心配もありません。

地温上昇効果の比較・確認実験については最後に纏めています。

マルチシートの張り方

マルチを知らない人のためにマルチの張り方を簡単に説明しておきます。
シルバーマルチを使って畝にマルチを張る方法を写真で示します。

まず畝の端っこにマルチの端を土を被せて仮固定します。
そしてマルチの巻物を軽く引っ張りながら転して畝に被せていきます。

 

畝の反対の端まで届いたら少し長めにしてマルチをカッターナイフやハサミなどで切断します。

 

マルチの端っこを軽く引っ張りながら土を載せて固定します。
最後に畝の両サイドに土をかけて出来上がりです。

 

ポット苗を植えたり種を撒くときには、次の写真のように、畝に張ったマルチに植穴を開ける必要があります。
植え穴を開けるためにはハサミやカッターナイフ、移植ごてなどを使っても出来ますが、「マルチの穴開け器」というものがあり、1,000から2,000円ほどで売っています。

尚、私は空のペットボトルを利用して、「穴あけ器」を自作して使っています。
マルチの穴を開ける位置に「穴あけ器」を乗せて、上から軽く手で「ポン」と叩くとマルチに穴が開きます。

シルバーマルチに植え穴を開けるところ

この「穴あけ器」をDIY製作した時の記事は以下にあります。参考にして戴ければ幸いです。

「マルチの穴あけ器をペットボトルで自作」 

地温上昇効果の比較、実験方法

マルチ利用の大きな理由である地温の上昇・保温効果について、マルチの種類の違いでどのくらいの差があるのか知りたくて実際に温度計で測って調べてみました。

地温測定風景

使ったのは写真のようなアルコール棒温度計で、測定の条件は以下の通りです。

①何本かある畝に、畝による差が出ないように1つの畝で違う種類のマルチを被せて準備して比較した。

②測定時刻は、朝8時頃と昼13時頃、夕方18時頃の1日3回

③測定深さは、地中4cmと地中8cmの深さまで温度計を挿入して温度が安定するまで1分ほど待って記録しました。

④温度計は1本しか無かったので、測定の都度マルチに穴を開けて挿入してデータを取ったわけだが、測定が終わったらその都度その穴をきっちり塞いだ。(開けた穴の奥まで外気温が影響を及ぼさないために)

測定結果とまとめ

結論だけを述べますと、地温上昇効果が一番大きいのはやはり透明マルチで、次いで黒マルチ、そしてマルチ無しとシルバーマルチが同じくらいで効果が無いことが確認出来た。

(1回目の測定)
まず、4/20から4/22までの3日間は、マルチ無し黒マルチシルバーの3つ比較を行った。

直射日光が射す昼間の地温はマルチの種類によって3~5℃ほどの差があり、黒マルチが一番高く、次いで「何も無し」、シルバーマルチの順であった。
この時期の日中の最高気温が21℃くらいだったが、黒マルチの地温(表面より4cm下の地中)は34℃くらいまで上がりました。

朝夕(直射日光が当たっていない時間帯)の地温は外気温の影響が大きく、その日の最低気温(6~9℃)に対して気温+3~6℃程度まで低下し、マルチの種類による差はあまりなかった。
地中4cmと地中8cmはそれほど差が無かったので、地中4cmの温度だけを次のグラフに纏めた。

(2回目の測定実施)
5/5~5/25になると、更に気温がかなり上昇してきたのでもう一度地温を測定してみました。
今度は透明マルチを加えて、黒マルチシルバーマルチの3種類の比較です。

予想通り、昼間は透明マルチが一番高く、次いで黒、シルバーの順です
透明マルチの最高地温は何と53℃まで上がり、その差は3~8℃程度ありました。
直射日光の当たらない朝夕は4月の測定と同様で、外気温の影響が大きく地温はかなり低下し、マルチの種類による差はほぼ無かった。

先に述べたように、地温上昇効果が一番大きいのはやはり透明マルチで、次いで黒マルチ、そしてマルチ無しとシルバーマルチが同じくらいで効果が少なかった。
ただし、直射日光が当たった時間帯の話であり、朝夕(当然夜間も)はどれも保温効果がほぼ無いという結果でした。

マルチシートの温度上昇・保温効果は以上のような結果でしたが、マルチシートにはその種類によりますが、保温効果以外にも先に述べたようにいろいろな効果があり、野菜などの生育管理をするうえで私はお勧めしたいと思います。

尚、今回の測定結果については、測定の方法や条件などによりもっと違った結果が出る可能性があるかもしれませんのでご参考程度に。

最後までお読みいただき有難うございました。


(参考までに生データを添付します)

今回の測定データを表に纏めたのが下記の表で、地中4cmも地中8cmもそれほど数値が変わっていないということで、見やすくするために地中4cmだけのデータをグラフにしたものが先のグラフです。
4/20~4/22の測定結果表(地中4cm、8cm)

 

5/5~5/25の測定結果(地中4cmのみ)