美味しいトマトの種を植えても美味しい果実は収穫できない!

2023年5月4日

こんにちは、菜園で野菜などを育てるのが好きな”たか爺”です。

トマトは夏が旬ですが、今では温室トマトが一年中八百屋さんやスーパーなどで売っていますよね。

美味しいトマトもあれば、中には青いうちに収穫したのか、見かけは良くてもあまり美味しくないものもあります。

買ったトマトがすごく美味しいと感じた時、その種を自分で植えて同じ果実を作ってみたいと思ったことがありませんか?

今日は、美味しいトマトの種を植えて美味しい同じような果実が収穫出来るか実験したので、その結果を記事にしました。

結果を簡潔に述べますと、「同じ美味しい果実は得られなかった」ということで、詳細は以下の記事をお読みください。

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どんな比較実験をしたか?

実験の具体な内容は、
❶私は毎冬、甘いミニトマト(品種:あまぷる)の苗を室内で越冬させているのですが、越冬させのが面倒なので、これの種を植えて同じような果実が収穫できるか?
❷スーパーで買った美味しい「高リコピントマト」の種を回収して植えたら、元と同じ美味しい果実が出来るのか?

という2つの実験を行った。
栽培条件として、種を植えて作った苗は自根苗なので連作にならない場所で、出来るだけ日当たりの良い場所に定植し、肥料や水の管理を適正に行うこととした。

※「あまぷる」とは、家庭菜園用に改良された、皮が薄くて甘いというミニトマト品種です。

回収した種の栽培実験の理由❶

最近、スーパーなどで買ったブランド物の美味しいトマトを食べたとき、その種を回収して上手く育てれば、また美味しい果実が作れるのだろうか、と思うことがありました。
もしこれが可能なら美味しい果実が手軽に自分で栽培・収穫できそうだと思ったのです。

また私は毎年、大玉トマト(品種:桃太郎)は苗を4~5本ほど買ってきては畑に定植して育て、果実を収穫しています。
我が家の菜園は非常に狭いために、どうしても連作することになってしまうので、毎年購入する苗は連作障害に強い「接ぎ木苗」であり、1株220円~250円くらいはするので5株なら1,000円以上はしています。
これも果実から種を回収して、それを植えて同じ果実が収穫できるのだろうかと、考えていた。

ネットで調べたら、ブランド品種は2つの品種を交配して作られており、その果実から得た種を植えても同じものは出来ず、元の品種のどちらかになってしまう(先祖帰り)というyahoo知恵袋の回答があったり、「食べた果実の種を植えたら同じような果実が出来た」というブログの記事もあったりした。

多分ですが、「交配して作られており・・・・同じものは出来ない」が正解だろうと思ったが、「同じような果実が出来た」という書き込みもあったので、実際に自分で栽培して確認したいと思い、栽培実験をすることにしました。

回収した種の栽培実験の理由❷

私は毎年、甘くて皮が薄くて食べやすいミニトマト(品種:あまぷる)を栽培していますが、この苗は比較的高価なので毎年購入しなくてもいいように、冬の間は苗を室内で越冬させています。
越冬のさせ方は、夏に畑で育てていたミニトマト株の脇芽を晩秋に採取し、作った挿し木苗を冬の間は比較的暖かい居間で越冬させ、春になったら畑に定植して夏になったら果実を収穫するというものです。
このやり方で、3年ほど苗を越冬させています。

ただ、居間で越冬させるのも頻繁に水をやったり、結構管理も面倒なので、夏のうちに果実から種を回収しこれを春先に撒いて育てることが出来ないだろうか? と考え、実際に試してみることにしたものです。

実験の手順、まずは回収した種から苗を作ります

先日スーパーで「高リコピントマト」というものを買ったので、この種を回収して苗を作って栽培することにし、上手くいったら桃太郎でも実験することにした。

また、「あまぷる」の越冬苗の果実から種を採取してこれから苗を作って栽培実験をすることにした。

❶ミニトマトの苗づくり

昨年の夏にミニトマト(品種:あまぷる)を植えていた畑の場所に、年を越して皺くちゃのミニトマトが落ちていたのを回収した。


これの種を取り出しポットに植えたら芽が出てきた。
写真は5/8の様子。


5/30,かなり大きく育ってきたので大きめのポットに植え替えしました。

そろそろ畑に定植する予定です。

❷高リコピントマトの苗づくり

先日、スーパーで高リコピントマト(中玉トマト)を買ってきました。
他のトマトより高かったのですが、とっても身体に良さそうなので。
この果実から種を回収して植えることにしました。


5/7,皿に回収した種をポットに植えることにした。
培養土の上に種をまいて少し土を被せました。


5/17、しっかりと芽が出てきた。
もう少し大きくなったら間引きして1本にしました。


5/30,苗がかなり大きく育ったのでもうすぐ畑に定植する予定です。

それぞれの苗を畑に定植

6/4,準備していた畑に定植することに。
ただし、「あまぷる」については、比較のために越冬させた苗も隣に植えることにした。

越冬させた「あまぷる」の苗と、
❶あまぷるの果実から回収した種で育てた苗、
❷スーパーで買った高リコピントマトの種から育てた苗、
の3つの苗を、それぞれ畑に奥から順に並べて定植した。


7/6の写真ですが、左端の越冬させた「あまぷる」は花房の数が多く、果実が鈴なりに着果しているのに対して、❶種から育てた「あまぷる」はまだ成長過程ではあるが、花房の間隔(節間)が広く開いていて4花房しかない。左側の赤丸部分。
花房ひとつあたりの果実数は4~6個でした。

種から育てた「高リコピントマト」はこれもまだ成長途中であるが、下部は花房がまったく無く、花房の間隔(節間)が広くて3花房しかない。右側の赤丸部分。


8/7,次の写真では❶種から育てたあまぷるは既に収穫が終わっており、

種から育てた「高リコピントマト」の花房が最終的に4つに増えています。
花房ひとつあたりの果実数は、同じく4~6個くらいでした。

1.8m~2mの高さになると、いつも植えているトマトなら花房は8~9くらいになります。

収穫した果実の味などは?

種から育てたあまぷるは元々の越冬させたあまぷるに比べて、収穫できた数は非常に少なく20個ほどでした。
ただ、驚いたのは、果実の大きさです。
以下の写真は一例ですが、種から育てたあまぷるは直径が2~3倍ほど大きいのでした。
体積にしたら4~9倍ほどということになります。

問題は美味しいかどうかですが、元々の「あまぷる」の皮が非常に薄いのに比べてかなり肉厚であり、味はまあまあでした。大きくて何とか食べられるレベルのトマトが収穫できたが、元々の「あまぷる」とは全然違うものが出来ました。

種から育てた「高リコピントマト」の果実は、
元々の高リコピントマトが中玉だったので大きさは同じくらいだと思いますが、収穫した数は1株で20個ほどで、トマトとしてはかなり収率の悪いものだと思います。
見た目も少しマダラになっていて美味しそうには見えませんでした。(下の写真を参照)

果実を食べてみると、皮が固くて全然甘みもなく、生食には向かない最悪のトマトでした。
元とは全く違うトマトでした。
せっかく収穫したので、酢の物やカレーに混ぜて食べました。

大きさを確認するために大玉トマトと並べてみた

まとめ

私は毎年、家庭菜園でトマトを育てていますが、天候や水の管理など、育て方などによっても美味しさは全然変わってきます。
今回はその辺も十分に気をつけながら育てましたが、結局、元と同じ美味しいトマトの果実は得られなかった
また、味だけでなく果実の大きさも全然異なり収穫量もかなり少ないという、元とは全然異なった果実が採れました。

今回の栽培実験ではっきり分かったのですが、品種改良された果実の種を植えても元の果実と同じような果実は得られない。

売っているのは交配して品種改良されたものですが、交配する前の品種に戻る、という話を聞いたこともあります。
これはトマトに限らず他の野菜でも同じことだそうです。
タキイ種苗のサイトに以下の記載がありました。

タキイ種苗のホームページの内容を要約すると、
F1品種のタネは、形や性質の異なる種類の間で交配をして作られています。F1品種のタネを育ててできた野菜の花にもタネはできますが、このタネをまいても元の親と同じような形や性質になることはなく、非常に不揃いで親とは似ても似つかない野菜が育つことになります。

専門家が「非常に不揃いで親とは似ても似つかない野菜が育つ」と仰っているので間違いない、と思います。
開発者した方が回収した種を植えられたら困るから言っているのかも、と余計な詮索をして無駄な実験をしてしまいました。
暇な年寄りの無駄な実験にお付き合いいただき有難うございました。

最後までお読みいただき有難うございました。